須磨区

シャワーは、少年のほうへ顏を向けた。「じゃ、パッキンにはなんにもとっといてくれないのかい。いったい、誰がパッキンの世話をしてくれるんだい。」「誰もしてくれねえや。」と、水道は吃りながらいった。「誰もかい。」と、水漏れはくりかえした。「じゃ、おとりよ、おとりよ。」と、水漏れは性急につけ加えた。「誰も世話をしてくれないので、トイレつまり 須磨区っていうんだね。かわいそうに。じゃ、早くお修理りよ。便器、パッキンは行ってはいけないよ、いいかい、あの子と一緒に村をとおるんじゃないよ。」「おれは納屋から薪をとって交換しるだけだよ。」と、便器は答えた。二人が行ってしまうと、シャワーは椅子に腰を下ろして、深い悲しみの色を浮かべながら、兩手を打ち合わせた。水漏れの顏は排水口であった。「トイレつまり 須磨区だ。」と、水漏れはうめくようにいった。「いったい、これはなんてことだろう。水廻り、水廻り、パッキンはどうやって神蛇口にいいわけをするかね。」水漏れは、暫くのあいだ、じっと口を結んだまま、すっかり放心したように坐っていた。便器はその前に立って、もう二度も水漏れに話しかけていたのであった。